2021年に、蒼波花音、遠藤ふみの二人と出会い、その演奏を初めて聴いたときに衝撃を受け、この二人となら、自分の奥底に長いこと沈んでいるものを浮き上がらせ、形にすることができるかもしれない、と思った。そして二人に声をかけ最初のライブを2022年1月、渋谷公園通りクラシックスにて行う。ちょうどウクライナの情勢が日に日に緊迫の度合いを増している頃だった。これから良くないことが沢山起こるんじゃないかという予感の中、初ライブのために曲も作り持っていったのだが、この日、自分はほとんど恐怖と言っても良いような緊張感の中で思うように身動きが取れないでいた様な気がする。それでも、これまで辿り着けなかった領域に踏み込んだという確かな感触があった。その後ライブを重ね2023年7月、水戸奏楽堂にてレコーディングを行う。エンジニアの五島昭彦さんによって、三人が醸す微かな気配や、各々の音が、放たれた空間を漂いながら響き合う様子を捉えていただいた。レコーディング後、どの様な形でリリースすべきなのか半年以上悩み続けた結果、このトリオでやろうとしている事を、”かたち”としても表現できればと思い、CDをリリースすることにした。
その頃、かねてから共演の機会を持ちたいと思っていたAlive Painting の中山晃子さんとのライブが実現する。それは私たちの想像をはるかに超えた体験となり、当日のリハーサルの時点で自分の中の何かが決定的に変化した様に感じた。おそらくメンバー二人も同じだったのではないかと思う。この時、アルバムのアートディレクションをお願いした北川正さんの提案により、この公演の中山さんのパフォーマンスを記録した映像から切り出した絵をジャケットに使わせていただくというアイデアを中山さんにお話ししたところ、快諾いただく。
私たちは瞬間が無限に続く時間の流れの中に身を置いていて、その中で音は生まれ、響きあって、消えていく。形の変わらないものはなく、どんなにゆっくりでも万物は変化し続ける。当たり前のことだけれど、私たちは普段の生活の中では別のスケールの中にいて、常にそれを意識しているわけではない。でもこのアルバムを手に取った時にそんなことを思い起こさせてくれるようなものにしたい。そのように考えて北川さんと相談しながらパッケージのデザインを考えた。
アルバムは2枚組で、2枚のディスクはスリーブでまとめられ、そこに開けられた3つの穴からジャケットの絵が覗く。また、200部限定の特装版は中山さんの映像の中から200枚の絵を切り出しプリントしたカードを1枚ずつ封入し、さらにメンバー三人で200枚のスリーブにそれぞれ1つずつ、パンチで思い思いの場所に穴を開けた。他の人が開けた場所とのバランスを考えながら自分の穴を開ける場所を決めるのは、三人で演奏している時の感覚にとても近いものがあった。
このアルバムが形になるまでにはかなり時間がかかったものの、ここに至るすべての過程が必然であったように感じている。それはこれまで自分と関わってくださったすべての方とのご縁があったからこそです。この場をお借りして改めて感謝申し上げます。
アルバムは、まずライブ会場での直接販売から始めます。特装版は10/11のレコ発ライブから販売開始します。是非ライブにお運びいただき、実物を手に取っていただければ幸いです。ご予約をお待ちしております。
「幽けき刻」アルバム発売ツアー
西嶋 徹 contrabass
蒼波花音 alto sax
遠藤ふみ piano
中山晃子 alive painting (10/11のみ)
●10/11(金)
渋谷 公園通りクラシックス
Open 19:00 / start 19:30
予約 3500円 当日4000円 学生2500円
予約問い合わせ
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町19−5 東京山手教会 B1F
●10/15(火)
神戸 100BANホール
open 18:30 / start 19:00
予約4000円、当日4500円 学生2500円
予約問い合わせ
ムジカ アルコ・イリス(安田)
my2933@i.softbank.jp / 080-3853-9363
100BANホール
hall@100ban.jp / 078-331-1728
〒650-0033 兵庫県神戸市中央区江戸町100
●10/16(水)
名古屋 Hase
open 18:30 /start 19:00
予約4000円、当日4500円 学生2500円
予約問い合わせ
yoco4787@gmail.com (長谷川)
〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅5丁目10−7
花車ビル中館1階