弦と絃と弦トリオツアー2021

ヴァイオリン喜多直毅さんの呼びかけで、元井美智子さんの箏、コントラバス、という珍しい編成のこのトリオは、これまでに都内で何度か演奏してきました。そのうちツアーをしたいね、という話が持ち上がり、計画したのが去年の6月。ところが会場を手配したり、演奏するレパートリーを準備して、いよいよという段階で、コロナ騒動でやむなく中止せざるを得ませんでした。それから約1年たって、状況はさらに悪化してしまいましたが、今回は多くの方のご理解とご協力のおかげで、対策をとりながらなんとか開催することができました。残念ながら、当初予定していた福井の公演は、会場となっていた施設の閉館の影響で中止せざるを得ませんでしたが、幸運なことに急遽石川県能美市のギャラリーいずみさんのご協力を得て、無事に3箇所で公演を行うことができました。

これまでは即興演奏を中心に行ってきたこのトリオですが、今回のツアーでは、日本の歌、タンゴ、クラシック、オリジナル曲といったレパートリーを独自のアレンジで、即興演奏を交えながら演奏しました。

初日は名古屋の井手口楽器さんのホール。演奏は、初日ならではの緊張感を感じつつでしたが、徐々にペースを掴んで行けた気がします。

井手口楽器店のホール出入り口にあった謎の展望台。それにしてもこの日は暑かった。天気予報では37℃とか。名古屋恐るべし。

翌日は石川県能美市へ。途中、敦賀湾の入口を望むパーキングエリアで休憩。北陸の空と海。

能美市のギャラリーいずみ。天井の高い部分があって程よく響く会場でした。ただし、雨が降ったため、換気のために窓を開けるとすごい湿気が襲ってきて、チューニングに結構悩まされました。立ち位置を初日から変更してベースが真ん中に。サウンドがまとまった。お昼にいただいた手作りのお弁当が蓮根のハンバーグなど野菜中心のメニューでとてもおいしかった!

急な開催にもかかわらず多くのお客さんに来ていただき本当にありがたかったです。

終演後、今回残念ながら中止となってしまった福井県三方郡に移動して、宿泊だけお世話になりました。夜は、何故か怪談めいた話題が盛り上がり、寝る前ちょっと怖かった。泊まった部屋にお札あったし。でも鈍感な私はぐっすり寝られました。翌朝は、会場になるはずだった三方縄文博物館と年縞博物館の周りを少し散歩。すごい興味をそそられる面白い建物。また改めて必ず!

隣にある年縞博物館。こちらもこの日は閉館だったので見学できず。こちらも次回必ず!

最終日、神戸へ移動。前日夜に、おろしそば食べたかったなぁ。と、ボヤいたら、いいお蕎麦屋さんあるよ、とのことで、途中の綾部で、あじき堂さんへ寄りました。

おろしそば。香りの良いそばに辛味大根、そして削りたての鰹節!3人で分けたくるみそばも香ばしく濃厚な味で大変おいしかったです!

六甲山の急な坂をエンジンブレーキをがっつり効かせながらひたすら下って海を目指し、橋を渡って最終日の会場、La sala di Orfeoがある六甲アイランドへ。実は私子供の頃、3年ほど神戸に住んでいたことがあるんですが、その頃はまだ六甲アイランドは半分も埋め立てられていませんでした。隣のポートアイランドで博覧会があって、小学生の自分は未来の街の景色をあれこれ想像したものです。あれから40年。初めてやってきた六甲アイランドの未来の街は、むしろレトロな感じすらして、なんとも不思議な感覚でした。

会場はすごく天井が高くてかなり響きました。天井から音が降ってくる感じ。昨日までの会場とはだいぶ様子が変わりましたがこの空間の雰囲気と響きを楽しみながら演奏できました。床の絨毯がいい感じ。

3日間、あっという間でしたが、自分にとっては喜多さんと元井さんから、改めて多くの事を学ぶことが出来たかけがえの無い時間となりました。このトリオで作る音楽には、まだまだ多くの可能性があると思うのですが、それを広げていくためにはもっと深く自分の演奏と向き合う必要があるなと痛感しました。

このような時期にもかかわらずなんとか無事に終えられたことは主催してくださった皆様やお越しいただいたお客様のご協力あってのことだと思います。改めて感謝いたします。

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